13-6. PCRによらないDNA増幅法
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1) ICAN法
ICAN法(isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids)
比較的高い(e.g. 60℃)一定温度で耐熱性のBcaBEST DNAポリメラーゼを使ってDNA合成を行う
最初にプライマーをアニールさせてからDNA合成を行い、ポリメラーゼによる鋳型交換反応で反応中間体を生成させる
次にこの中間体をもとに反応を進めると、目的DNAと、末端にプライマーがアニールできる一本鎖をもつ分子ができる
後者の分子(*)は次の反応で反応中間体と*を生成するので、あとはこの反応を繰り返すだけで目的DNAが蓄積することになる
この方法の特徴
RNAを含むキメラプライマーを使うことによりRNaseH処理後にそのままポリメラーゼによる鎖置換反応(鋳型を引き剥がしながらDNAを合成する)が行え、高温処理によりその都度鋳型DNAを変性する必要がないという点
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2) LAMP法
LAMP法(loop-mediated isothermal amplification)
耐熱性のBst DNAポリメラーゼと4種類のプライマー(2種の鎖引き剥がしプライマーと2種のループ部分にアニールするプライマー)を使い、一定温度(65℃)でDNAを1ステップの操作で増幅させる方法
手順
プライマー配列を工夫して、生成DNAが末端部でステム-ループ構造になるようにしてある
最初の段階で複製の起点となるステム-ループ構造をもつDNAを生成させる
次の段階でループ部分からDNA合成反応を行うことによりDNAが合成される
産物もステム-ループ構造をもつためそこからもDNA合成反応が連続して起こり、DNAが高度に増幅する
一本鎖ループ部分にプライマーがそのままアニールするので、プライマーアニールの多面い溶液をその都度高温にする必要がない
鋳型がRNAでも逆転写反応を追加するだけで同様に増幅できる
memo: RCA法
RCA法(rolling circle amplification)は環状DNAをもとに、バクテリオファージ由来phi29 DNAポリメラーゼでDNAを合成する方法
酵素には高い鎖引き剥がし能力があり、合成済みの鎖を剥がしながらDNA合成が継続するため、ローリングサークルのような連続的DNA合成が起こる
DNA合成は環状構造から延びたブランチ部分でも起こるため、圧倒的なDNA増幅効率が得られる